First Steps in SAP MM ファーストステップSAP MM入門
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本書はS/4 HANA版のMMはカバーしておりません。また内容は日本の税 法上、使用できないものも含まれている場合があります。> SAPの購買プロセスをエラーなくオペレーションする方法をご存じですか? 本書はSAPの購買プロセスを担うMMモジュールの基礎知識を身につける のにぴったりのガイドです。MMにはたくさんの設定や機能がありますが、 多くの企業で使用される最も基本的なものに絞って、解説していきます。 具体的には購買依頼、購買発注、入庫(入出庫伝票)、仕入先請求書(請求 書照合)です。これらの内容はMM以外の担当者も理解しておいて損はな いでしょう。特に財務会計の担当者には必須の知識です。スクリーンショ ットを用いて、ステップバイステップで解説していますので、初心者にもわ かりやすい内容になっています。SAPを長く使用してきた著者がよく使用 する作業を効率化するためのヒントもお伝えします。
- ステップバイステップで仕入先マスタの登録や購買依頼の登録方法を 説明します。
- 購買依頼から購買発注伝票への変換方法も解説します。
- 承認プロセスの設定方法も理解いただけます。
- お気に入り機能など、知っておくと便利なTIPSにも触れています。
読書例
2-1 SAPの基本操作
仕入先マスタや購買依頼を登録する前に、SAPの基本操作、特によく使用するボタンについて説明します。
マスタや伝票の登録画面上に値を入力後、緑のチェックマークボタンをクリックすると(ENTERを押しても同じです)、入力値がチェックされ、問題があるとエラーメッセージが出力されます。エラーがなければ、保存することができます。
オレンジのボタンをクリックすると、マスタデータや伝票データを保存することができます。保存に成功すると、伝票番号などが画面下部のステータスバーに表示されます。保存する前にボタンで入力内容をチェックすることをお勧めします。、
、などの表示は何らかの問題があることを意味し、クリックすると、その内容を確認することができます。画面により、ボタンの表す意味が違う場合があるのですが、気にしないようにしてください。
ボタンは表示内容の展開、ボタンは圧縮することができます。情報量の多いレポートなどで使用します。
マスタや伝票の変更画面や照会画面ではボタンを使用して、照会モードと変更モードを切り替えることができます。
マスタや伝票を新規登録するときにはボタンをクリックします。
ゴミ箱ボタンはデータを削除するときに使用します。削除できないオブジェクトや論理削除されるだけのオブジェクトがあります(物理削除はデータベースから削除されることを指し、論理削除はデータとしては残っていますが、削除フラグが立っていて、使用できない状態になっていることを指します)。
信号ボタンにより、データの状態が表示される場合があります。
赤信号はエラーがある状態です。ダブルクリックすると原因となる項目が表示されます。購買発注伝票の登録であれば、数量や勘定設定などに問題があると赤信号になります。
黄信号は警告がある状態です。例えば、出荷日が非稼働日の場合などです。誤りの可能性があるということでシステムは警告してくれています。エラーと異なり、無視して保存することができます。
青信号は入力内容に問題がないという意味です。ただし、保存を忘れないようにしてください。保存せずに画面を抜けてしまうと再度入力が必要です。
レポート機能や一括更新機能でボタンをクリックすると、 処理が開始されます。
SAP GUIを使用している場合、複数の画面を同時に起動することができ、処理を並行(パラレル)実行することができます。この画面のことをセッションと呼びます。画面を左右に並べて、購買情報マスタの内容を見ながら、購買発注伝票を登録するといったことができます。新しいセッションを開きたいときはボタンをクリックします。
ロック機能
エクセルなどでもそうですが、複数の人が同じデータを変更するとデータが壊れてしまうので、ロック機能があります。誰かがデータを変更モードで開くと、そのデータに対し、ロックがかかり、他のユーザはそのデータを変更することはできません(照会は可能です)。特に複数セッションを立ち上げて作業するときには自分がロックをかけていることを忘れがちです。注意するようにしましょう。
仕入先マスタ登録画面、購買発注伝票登録画面、購買伝票一覧照会レポートなど、各画面にはトランザクションコード(以下、Tr-cd)というコードが割当られており、そうした画面を呼び出すために使用します。またメニューツリーも用意されていますが、慣れてくるとTr-cdを使用するほうが便利です。
お気に入り機能
SAPに仕入先マスタや購買依頼を登録するには、メニューツリーから画面を起動する方法とトランザクションコードと呼ばれるコードで画面を起動する方法とがあります。コードを覚えるのが苦手な人はよく使う画面をお気に入りとして設定しておくことをお勧めします(4-4章参照)。
本書では品目、材料、製品、商品という言葉がよく登場します。材料や製品は製造業の会社において、仕入れた材料を加工し、製品にするという状況で使用する用語です。商品は狭義では小売業の会社で、仕入先から調達して、得意先に販売するものを指します。広義では、材料、製品、商品を共通する内容も商品を呼びます。品目も広義の商品と同様です。材料、製品、商品とも品目マスタで管理されます。